2013年12月27日金曜日

電子書籍「わたしの緩和ケア」のご紹介

本日は本(電子書籍)のご紹介です。

当院の嘉藤茂ホスピス長の電子書籍「わたしの緩和ケア あるホスピス医の自例報告」第1~3巻kindle版がamazonから発売されました。



緩和ケアに携わる方はもちろん、対人援助に関心のある方、ホスピス医の仕事に関心のある方はぜひ、ご一読ください。お手数ですが、http://www.amazon.co.jpから「嘉藤 茂」で検索をお願いします。
 

内容紹介(amazonより)
本のタイトルを読んで、がんになったホスピス医の話と思った方がいるかもしれませんが、そうではありません。この本は自分が行っている緩和ケアの在りようを自ら記載したものです。緩和ケアにいくつか種類があるわけではありません。ところが、A医師の緩和ケアとB医師の緩和ケアは異なるものと考えたほうがよいと思います。なぜなら、ケアとは人間対人間の関係性のなかで形作られるからです。医師は患者さんをどのような存在として認識しているのか。医師は自分の役割をどのように認識しているのか。医師は患者さんとどのような関係を作ろうとしているのか。これらの問いに対する回答の多様性が、患者・医師関係の多様性の背景であり、A医師とB医師では提供する緩和ケアの内容や方法が異なることの理由です。これらは医療者にとって根源的な問いであるはずですが、納得できる回答は自分で探すしかありませんでした。押し付けられた回答は内面に届きませんから、自分で探し、見つけ出し、納得するプロセスを経て、はじめて我が身に馴染むのでしょう。ホスピス医としての臨床で私が把握した三つの問いに対する応答のようなもの、ケア提供者としての規範のようなものを、まとめてみようと思い立ちました。うつ病からの回復がそのきっかけでした。発表形式を事例報告としたのは、「ケアするわたし」を提示することで、ケアについて踏み込んだ記述が可能になると考えたからです。自分の事例報告ですから、「自例報告」と命名しました。本書は全4巻からなる自例報告の第1巻です。本書には1982年の医学部卒業までを「生活歴」、医師になってから2011年12月にうつ病と診断されるまでを「現病歴」、その後から2013年の秋に至るまでを「経過」として書きました。第2巻から第4巻には、ホスピス医としての私の実践を「現症」としてまとめました。現症とは患者さんが医療機関を受診した時点の状態、すなわち、自覚症状や他覚的所見のことをいいます。通常の事例報告では、現病歴、現症、経過、考察の順で記述されますが、今回は現症と経過の部分の順序を逆にしました。「現症」では、現在の私の認識の在りかたや取り組みについてじっくりと紹介させていただきたいと思ったからです。第4巻では「現症」の後に「考察」を書きました。これも事例報告の形式に従いました。考察とはいうものの、自分で自分自身のことを考察しても視野の広がりや洞察の深化は期待困難でしょうから、本書の考察は「考察もどき」、あるいは「著者の独り言」といった程度のものです。「こんな事例もあるのか」と言う程度に、本書が緩和ケアを実践する人や学ぶ人の頭の片隅に居場所を与えられるなら、私は幸せと思います。